大切な導入指導
教室によって異なる指導法
ピアノの指導法は、教室によって千差万別です。講師によって言うことが違ったり、時には真逆のアドバイスをされることもあります。
ある程度の演奏レベルや年齢に達していれば、複数の講師による異なるアドバイスは有益に働くことが多くあります。さまざまな視点からの意見を取り入れることで、曲の解釈を広げることができるからです。
ですが、子どもの導入期のレッスンにおいては、指導の違いがその後のピアノ人生に大きな影響を及ぼします。
導入期はピアノの基礎を身につける大切な時期
導入期には、これから何年、何十年とピアノを弾いていくための基礎となる部分に取り組みます。奏法はもちろん、楽譜の読み方や練習への取り組み方など、導入期に身につけておきたいことは多岐にわたります。
しかし、この時期に良くない癖がついてしまうと、初めはうまく弾けているように見えても、どこかの段階で必ずつまずきが生じます。
例えば…
- 楽譜が複雑になり、音数が増えた時に譜読みに時間がかかる
→読譜指導が不十分だった - 音色が乏しく、淡々とした演奏になる
→表現に関する指導が不十分だった - 速いパッセージで腕を痛めたり指が回らなくなったりする
→負荷のかかる奏法で学んだ
すべてが導入期からの積み重ねです。
「ドレミ」しか出てこない曲でも、できることはたくさんあります。
「やり直し」の負担は大きい
一度ついてしまった良くない癖を直すには、それを身につけるのにかかった時間の何倍もの時間が必要です。また、時間だけでなく、お子さま本人の根気と努力も求められます。
指導者は将来のことを見据えて「やり直し」を提案します。しかしお子さまにとっては、今まで「これで良い」と言われてきたことを否定され、違うやり方を求められるため、「なぜ?」と戸惑うのが当然です。
これは上達への遠回りになるだけでなく、最悪の場合、ピアノを弾くこと自体が楽しくなくなってしまう危険性すらあります。
「今」だけでなく「将来」を考えたピアノレッスンを
このような事態を防ぐためにも、導入期から正しい弾き方や、音楽との向き合い方を身につけていくことが大切です。
取り返しのつかない事態を招かないように、導入期の指導は責任重大です。
「良いレッスン」の定義をひとことで表すのは簡単ではありません。
しかし、目の前の曲を弾けるようにするだけではなく、その先の成長まで考えた指導であることは間違いなくその要素の一つです。
5年後、10年後、20年後……。
美しい音で、自由に楽しくピアノを弾き続けられるように。
そのような願いを込めて、日々指導法の研究を重ねています。